タバコとはナス科の植物で、ポルトガル語でtabaccoと言う。ネイティブアメリカンの儀式用として使用していた、トバッコが語源。黄金の国ジパングを目指して、大西洋へ船出したコロンブス(1451〜1506)一行は、苦しい航海の末、1492年西インド諸島の一つ、サンサルバドル島に到達した。その島で先住民から、贈り物の返礼にと「香り高い乾燥した葉」を渡された。それがタバコだった。タバコはヨーロッパでは、当初は薬品であり、観賞用の植物で、喫煙の習慣はなかった。脳の悪い湿気を取り除く、神経痛、ぜんそく、伝染病のペストの予防薬として使用されていた。イギリスの小学校では、パイプとタバコを持って登校し、休み時間に一斉に火をつけていたこともある(今から思えば、ものすごく健康に悪いこと)その後、タバコには医薬的効果がないとわかっても、しばらくは効果があると信じられていた。タバコの主成分は、ニコチン、一酸化炭素、タール、二酸化炭素、アンモニアなど。ニコチンは1550年、タバコをパリに持ち帰ったポルトガル大使の、ジャン・ニコに由来する。
コロンブスが乾燥タバコを持ち帰ったことにより、次第に喫煙の風習が広まり、嗜好品として流行していき、世界の国へと伝わり、日本では16世紀末に、国内でもタバコの栽培が始まり、江戸時代には庶民を中心として嗜好品として喫煙が広まり、日本独自の文化へと発展していった。当時のタバコは「刻みタバコを煙管(きせる)で吸う」と言うものだった。毛髪より細かく刻むタバコは外国にはないもので、タバコにも日本の独自の文化が形成されていった。
キセルとはカンボジア語で「管」の意味。パイプをアジアがマネてキセルができた。キセルの先端の煙草の葉を入れるところが「火皿」支える部分を「雁首(がんくび)」細い管を「羅宇(らお)」口にくわえるところを「吸い口」と言った。両端が金属でできているところから、間が抜けているので、不正乗車の意味に使わるようになった。
明治時代に入ると洋風化により、紙巻タバコ(シガレット)がもてはやされるようになり、ハイカラな風俗のシンボルとして、日本人の洋風好みと相まって、シガレットは新しい産業へと発展していった。政府は1876年9月「煙草税則」として、営業税と商品個々の印紙税の徴収を実施、1904年「たばこ専売権」として、原料の栽培から製造販売まで、国の管理による製造専売は大蔵省から日本専売公社へと引き継がれ、1985年昭和60年3月まで続いた。
「ピース」の新しいデザイン「鳩がオリーブをくわえている」は1952年昭和29年4月に発売され、その斬新なデザインが評判となった。アメリカの商業デザイナー、レイモンド・ローウィが手がけたもので、そのデザイン料は150万円。当時の総理大臣の月給が11万円の頃だから、ものすごく高額であることがわかる。また、ピースの売り上げも前年同月の3倍になり、ピースのパッケージの色は「ピース紺」と呼ばれた。
1957年昭和32年にはフィルター付き「ホープ」が発売され、その後はフィルター付が主流になった。そして、1960年に日本初のロングサイズ(8.0センチ)フィルター付きの「ハイライト」が発売された。コバルトブルーに白いhi−liteの文字と、黒線8本が放射状になっている。当時は会社の仕事として手がけたイラストレーターの和田誠がデザインしたもので、革新的なデザインとして高く評価された。ハイライトのネーミングは、俗語で「もっと陽のあたる場所」から名付けられたもので、ロング、タール軽い、長い、軽いの造語ではない。
また、新幹線の車体の色もこのコバルトブルーが採用された。車体の色に悩んだ国鉄職員のテーブルの上にハイライトがあった……。
でも、この斬新なデザインも、今は上の方に押しやられ「タバコは健康に害」云々の注意書きが3分の2ほど占めて、デザインも何もあったものではない。
私はタバコを吸わないから、タバコ自動販売機の前も、スーパーのレジの上辺りにあるタバコケースに目をやることもない。現在のタバコのデザインについては、それこそ何も知らない。今日のブログネタのために、タバコについてあれこれ検索してみれば、タバコが健康に悪いと言う注意書きがされていることは当然知っていたけど、それはタバコの箱の横のスペースにでもされているのだろうと思っていた。
喫煙者のマナーの悪さに辟易したこともあるし、副流煙の方が健康被害があるのでは、気を付けなければいけないと思ったこともあるけど、それとパッケージのデザインは関係ない。私もハイライトのデザインは好きだったし、ピースに至っては花札のような美しさを感じていた。なのに、こんなに酷いものになっていようとは夢にも思ってなかった……。
いくら、健康に害があるからと言って、売り物にデザイン無視の注意書きをつけるのは、エスカレーターの側で「気をつけろ」と繰り返すのと同じように「耳痛」であり、酷いパッケージは「目痛」でしかない……。また、日本たばこJTのホームページには、私も入れない「アダルトサイト」がある。
余談だけど、ちょっと昔の映画やドラマの再放送を見ると、男はタバコを吸うわ、吸う。何かと言えばタバコを取り出し、火をつけ、ふかす。また、それはカッコ良さの小道具でもあり、ポイ捨てなんかは当然。タバコの吸殻が足元にたくさん落ちていると言うことは、待ちくたびれた男のイライラの表現であった。また、ワルはそれこそ、ふてぶてしく吸わなければならない。ワルをより強調する重要なアイテムでもあった。
でも、ヒロインは決してタバコを吸わない。だが、その側には必ずタバコを吸う女がいると言う設定になっている。ヒロインを引き立てるために、くずれた女、当時の言葉で言うなら、あばずれ女を配置していた。タバコとは男が吸うものであり、女でタバコを吸うものは水商売か高飛車な女であり、とにかくタバコを吸う女はいやな女として描かれている。だが、これが年寄りになるとタバコが許されていた。年寄りでタバコを吸う女は、気風(きっぷ)のいい女としてヒロインを助ける役回りだった。年取ってもタバコを吸うような女は、若いときから吸っていたんだけどね、なんてツッコミながら、昔のメロドラマを見てみるのも楽しい。
それにしても、タバコと酒の自動販売機、いつになったら街から消えるのだろうか……。
今、何であれ、これはいいなあと思うようなデザインのものがない……。
明日は何の日・11月13日
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