2010年11月09日

(火)あなたのすぐ側にいる毒…

見えないキノコです。

☆黴(かび)
黴とは、菌類の一部の姿を指す言葉。肉眼的に見える微生物の集落(コロニー)の俗称。

正しくは「真菌」動物にも植物にも属さない独立した生物。酵母、糸状菌、キノコがその仲間。種類は一説には数万種と言われ、そのうち2000~3000種が猛毒を持っている。


☆カビの種類
○酵母菌
酵母菌とは単細胞真菌の総称。発酵食品に使われる。また、風呂などに発生する黒いカビも酵母菌。

○糸状菌
多数の細胞が集まった糸状真菌。通常カビと呼ばれるもの。水虫菌(白癬菌)もこのカビ。

○キノコ
詳しくは昨日のブログを読んでください。


☆細菌とカビの違い
カビは細胞内のDNAを包み込む核を持つ、真核微生物。

最近は核をもたない原種微生物。全く別物。


☆カビの役割
動物や植物の不要になったすべての有機物を分解する。

人間が直接利用しているのは、抗生物質。また、みそ、しょうゆ、酒などの発酵食品はカビの力によるもの。ブルーチーズの青カビ、カマンベールチーズの白カビなど。


☆カビによる病気
○夏型過敏性肺炎
空気中のカビの胞子を繰り返した量に吸い込むことで、肺が炎症を起こし、咳やだるさ、息切れが続く。放っておくと肺が線維化する恐い病気。原因はトリコスポロンと言うカビ。夏風と間違われやすく、見過ごされやすい。

○白癬菌
水虫菌とも言う。タムシ、シラクモ、インキンもこのカビによって引き起こされる。白癬菌は角質層に入り込み、角質層を食べるが、その内側の生きた細胞に取り付くことはない。ただ、白癬菌が出す酵素や老廃物が生きた細胞を刺激し、免疫機能にダメージを与えることで炎症が起きる。

○カンジタ
カンジタは人間の消化器系に棲む唯一のカビ。酵母の仲間。通常は人間にとっていい働きをしているが、皮ふに感染すると水虫のような症状が出る。また、重い病気で体が弱っている人などに感染する「日和見感染」をする。

重病人の内蔵等で増殖するカンジタは抗生物質が効かない。カンジタは細菌とは違い、人間などと同じ真核生物なので、漢字他に効果のある薬は人間にも悪影響を及ぼす。


☆抗生物質(antibiotic)
カビや細菌などの微生物によって作られる物質。他の微生物や生物細胞の機能を阻害する。1928年、フレミングが青カビからペニシリン(penicillin)を発見。以後、数多くの抗生物質が発見され、ストレプトマイシン、カナマイシン、クロロマイセチン、バンコマイシン等の抗生物質は夢の薬として多くの人の命を救ってきた。

だが、その乱用(人間だけでなく家畜の飼料等)により、多くの薬剤耐性菌も発見されている。


☆黴雨
中国語では「つゆ」を「梅雨」「黴雨」の2つの字であらわす。梅とカビの発音はどちらも「メイ」黴の訓は「かび」

○梅雨の語源
1.露に通じる
2.食べ物が腐る意味の潰(つい)ゆ
3.梅が熟す意味の熟(つ)ゆ
など、諸説ある。


☆動物の毛ブラシ
カビ取り剤と動物の毛ブラシで使用してはいけない。家に含まれるたんぱく質が、カビ取り剤の成分に反応し、塩素ガスを発生する危険性がある。


☆ナポレオンの死因
ナポレオンの死因については諸説ある。よく知られているのはヒ素によるもの。

1.壁紙に使われていたヒ素を吸い込んだ。
2.暗殺説。
3.胃がんの合併症。ヒ素は外部から付着した。

○壁紙説の根拠
昔からヒ素は絵の具の顔料として使用され、ヨーロッパではヒ素入り絵の具が絵画の色調を出していた。一方、スポプラリオプシスと言うカビは蒸発しにくい無機のヒ素化合物を、蒸発しやすい有機のヒ素化合物に変える性質を持っている。このカビによって蒸発した有機ヒ素を吸い込んだためとされている。

ちなみに顔料とは、着色用の粉末で水や油に溶けないもの。水や油に溶けるものは染料。顔料と言う名前の由来は、昔は色が付けばいいと言うだけで、鉛や水銀の入った顔料を顔に塗っていた。当然、皮ふはボロボロになり、鉛や水銀は体の中にも浸透する。武家の子供が育ちにくかった理由に、母乳に鉛毒が含まれていたことが原因の1つとされている。

さて、真実は…。


カビは至るところ、ものに発生する。シンナー、防腐剤、灯油、理由さん、ジェットエンジン、ゴム、プラスチック、金属など。水深千メートルの深海に棲むカビもいると言う。

カビはすぐにまん延します。常に清潔と乾燥を心がけるしかないようです。




















タグ: カビ
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2010年11月08日

(月)今日も空飛ぶエロの花!

今は1年中食べられるけど、秋はキノコのおいしい季節。

☆キノコとは
キノコは菌類。その菌類で比較的大型の子実体を形成するもの、肉眼でその存在がはっきり確認できるくらいの大きさのものをキノコと言う。顕微鏡でなければ確認でないものはカビ。その種類は数千から数万あり、1000種から2000種が食用になるが、栽培されているのは10数種。

キノコは植物に例えれば、花。飛散する生殖器。


☆キノコの語源
キノコの語源は木の子。
「茸」は草が盛んに生い茂る様子を表わした会意文字。「きのこ」と言う読みは国訓(中国にあった漢字に、日本で違う意味の訓をつけたもの)


☆食用
マツタケを食べ始めたのは奈良・平安時代。

万葉集、読み人知らず
「高松のこの峯も狭に笠立ててみち盛りたる秋の香りのよう」

古くはくさびら(茸)と言い、平安初期の「宇津保物語」に

「おまへのくち木に生ひたるくさびらども、あつい物にさせ」

キノコの栄養素は水分を除くと4割が食物繊維。ビタミンB、カリウムを含むがカロリーはほとんどない。消化が良くないので、食べ過ぎると下痢をする。


☆キノコの種類
○腐食性キノコ
落ち葉や枯れ木を栄養媒体として育つ。シイタケ、エノキダケ、ムラサキシメジ、ナメコ。

○菌糸性キノコ
特定の樹木の根にその期と共生関係を築く。マツタケ、ホンシメジ、ベニテングダケ。人工栽培は難しい。


☆スギ林・ヒノキ林
スギ林やヒノキ林ではキノコは見かけない。根元に共生する「菌根菌」の種類が異なるので、すべての樹木がキノコと共生している訳ではない。


☆キノコと落雷
「落雷をうけるとキノコはたくさん生育する」とギリシャ時代の哲学者、プタルコスが記している。これは落雷によるショックで防衛本能から、子孫の増殖本能が働くと考えられている。

栽培の農家の一部では、電気ショックを与えて増産効果を上げている。


☆最大・最小のキノコ
日本で生育するキノコで大きいものは「ニオウシメジ」最大で180s、直径30p、柄の長さ50p近くのものが収穫されたことがある。
「ニオウシメジ」名前の由来は「金剛力士」の別名「仁王様」から。

キノコ型の組織を形成するものに限って言えば「ロクショウグサレキン」「ビョウタケ」の仲間で1~4mm。


☆キノコあれこれ
○冬虫夏草(とうちゅうかそう)
昆虫などから生ずるキノコの総称。本来はコウモリガの幼虫に寄生する種。養分を昆虫などから得る寄生生活をし、近視の塊りとなり、やがて虫の体内を突き破ってキノコ(子実体)を生ずる。

昔の人はその様子から、冬は虫、夏は草に転生する生き物と想像したらしい。

歴史的には、チベットの薬物書「甘露宝庫(1400年頃)」に記載されたのが最初。中国では清朝時代の医学書「本草従新(1757年)」に初めて出てくる。

○サルノコシカケ
タコウキン科、マンネンタケ科、タバコウロタケ科などの菌が、樹木の幹などから発生する硬質のキノコの総称。サルノコシカケと言う種はない。

○アガリスク
ブラジルで採れるメシマコブ。桑の木に寄生し、桑を枯らすキノコ。

○シイタケ
椎(しい)の木に生えるキノコ。クリ、ナラ、クヌギにも生える。

○マツタケ
アカマツ林に生える。寒冷地では、エゾマツ、ハイマツにも生える。

○マイタケ
見つけた人が舞踊って喜ぶところからつけられた名前。

○キクラゲ
「木耳」はラテン語の「耳介」に由来する。欧米では「ユダの耳」と言う。ユダが首を吊った木から生えたことに由来する。

○マッシュルーム
世界で生産量が最も多いキノコ、75パーセントを占めている。

○その他のキノコ
「しめじ」として売られているのは、ヒラタケの栽培品。
「ほんしめじ」はブナシメジの栽培品。


☆毒キノコの見分け方の迷信
1.縦に裂ける
欧米では「死の天使」と呼ばれるベニツルタケは縦に裂ける。つまり、ほとんどのキノコが縦に裂ける。

2.虫に食われたキノコ
虫に有毒な成分と人間に有毒な成分は違うので、虫が食べていてもダメ。

3.地味なキノコ
ド派手なベニテングタケは例外で、ほとんどの毒キノコは地味。

4.銀のスプーン
銀のスプーンが変色しなくてもダメ。

5.ナスと一緒
バター、油で炒めても、ナスと一緒に煮てもダメ。

6.干す
干して乾燥しても毒は消えない。

7.塩漬け
それでもダメ。

では、どうしてこんな迷信が広まったのかと言えば、明治初期の官報に、一部で流布していた俗説を事実と誤認し、掲載したことによるもの。


☆干しシイタケの作り方
市販の干しシイタケはほとんどが機械干し。なのに、高い。そこで、自宅でも簡単に干しシイタケを作る方法。

スーパーで大きめの生シイタケを買ってきて、ザルに並べて陽のあたるベランダにでも置き、後は天日に当てて干すだけ。そのときに、じくの付いている方から干すのではなく、笠の方から干すこと。そして、ある程度乾燥したら糸に吊るしておく。

2.3日で完了と言う訳にはいかないけど、完全に乾燥しない、半干しシイタケもそれはそれでイケる。また、干しシイタケを改めて天日干しにすると、ビタミンDが増しおいしくなるので、1度お試しください。

キノコはお店で買いましょう。
































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2010年11月07日

(日)甘くて渋い、無花果のような日本人?

みかんとくれば柿。

☆柿
柿はカキノキ科の落葉高木。世界には約500種ある。原産地は日本、あるいは中国と言われている。その他、インド、マレーシア地区を中心に分布。実の成るものは食用。

黒檀(こくたん)はインド南部やスリランカで育ち、家具や建築物などに応用される優良な木材。柿の心材は淡黒色、または黒色。堅く緻密なので、家具や楽器等に用いられる。特に黒色のものは黒柿と呼ばれ、黒檀の代用になる。

縄文時代、弥生時代の遺跡からも出土している。現在のように大きな実の成るものは、奈良時代に中国から伝わったもの。甘柿の出現は鎌倉時代の突然変異によるもの。

日本の柿は16世紀頃、ポルトガル人によってヨーロッパに紹介され、「東洋のリンゴ」として広まり「Kaki」で通用する。日葡辞書には「リンゴに似た日本の無花果(いちじく)」とある。

学名、ディオスピロス・カキ(Diospyros Kaki、神の食べ物)
Dios=ゼウスの神 pyros=食べ物

中国語「シー」
トルコ語、ロシア語「フールマ」
北アメリカ「パーシモン」東洋の柿は「japanese persimmon」


☆柿の語源
1.赤い実のなる木「赤木(あかき)」の上略。
2.実が固い「カタキ(堅木)」の中略。
3.実を取る時、枝を掻いて取る「カキ」
4.実に光沢があるところから「カガヤキ」の略。
5.同じく「アカツキ」の転化。
6.「赤黄(カキ)」色から。
と、諸説アリ。


☆柿の名称の由来
○富有(ふゆう)柿
岐阜県本巣郡巣南町居倉で発見された柿。別名を「居倉柿」と言う。中国の古典「礼記(らいき)」の一節「富有四海之内(天下を豊かに保つ)」から1898年に、富有柿と命名。新潟県から九州まで広く栽培され、全国生産量の60パーセントを誇る代表的な柿。

○次郎柿
森の五軒町(現・静岡県周智郡森町)の松本治郎が弘化年間、太田川の大洪水の後の堤防修復工事に出た際、漂着した1本の柿の苗を持ち帰り、裏庭に植えたのが始まり。実にハッキリした4条の溝があり、溝にそってナイフを入れると種に当たりにくい。

○西村早生(にしむらわせ)
滋賀県大津市で偶然発生した柿。1960年に名称登録。8月下旬から10月上旬に出回る早生品種。福岡県、岐阜県、愛知県などで栽培されている。

○平格無(ひらたねなし)
新潟県新津市原産。古い品種で渋柿の代表。明治20年命名。別名、八珍、庄内柿、おけさ柿。種なし。

○西条柿
広島県原産。1238年、長福寺の僧、良信は本尊薬師如来像の霊夢を受け、弟子の信常を鎌倉の栄福寺へ遣わしたとき、信常が種を持ち帰ったもの。「最上」「才女」とも言われる。


☆干し柿
和菓子の甘さの基準となっている「和菓子の甘さは干し柿を最上とする」と言う言葉がある。柿は酸味が少なく、干し柿の糖度は40~70パーセント。砂糖の無い時代の甘味の優等生。


☆柿霜(かきしも)
干し柿の表面についている白い粉は柿の乾燥に伴って、果肉の中の糖分が表面に結晶化したもの。成分は果糖とぶどう糖。砂糖の無い時代、この白い果粉をかき集めたものを「柿霜」と呼ばれ、今の砂糖のように甘味料として使われていた貴重品だった。千利休も茶菓子に利用していた。


☆木守柿
昔、翌年の豊作を願って、木の上の方の柿を1つ残しておいた。今は木の上に残った柿を差している。


☆硫黄燻蒸(いおうくんじょう)
柿に少し紅がした時点で収穫し皮を剥く。干す前に硫黄を燃やして燻製にする。その時、発生した亜硫酸ガスは水分によって、亜硫酸になる。この亜硫酸がタンニンの酸化を防止し、あめ色のきれいな干し柿が出来る。殺菌力もあり、カビや変色も防ぐ製法。


☆パーシモン(persimmon)
昔はゴルフクラブに使用されていた。日本の柿とは種が違う。ゴルフクラブの最初は、ブナ材(ビーチ)で1590年~1890年の300年の間使われていた。

このブナは古い英語のbuck。これはバッキンガムの語源になっている。本(book)の語源も紙の無い時代、この木の樹皮に文字を書いたことによる。


☆シブオール
シブオールとは柿渋のタンニンの一種。すべての柿に含まれる。シブオールには血管を強くする働きがあり、高血圧症、脳卒中の予防に効果がある。


☆柿渋
柿渋は、渋柿を砕いて絞った汁を発酵熟成して作る。主成分はタンニン。防腐効果、耐水性があり、漁網、傘、うちわ、雨合羽などに塗られていた。建築物の塗料にも利用され、専門の渋塗り職人がいた。

最近は、加齢臭の原因と言われるノネナールの消臭に有効として、化粧品にも利用されている。


☆日本初の特許
明治18年「鉄、銅製品のサビ止めの塗料とその塗り方」が日本の特許第1号。この塗料とは漆、柿渋、アルコール、鉄粉などを素材にしたもの。


☆柿と酒
柿は悪酔いを防ぐ。タンニン、ペクチンにアルコールの吸収を抑える働きがある。二日酔いにも効く。豊富なビタミンCが副腎機能を回復、柿の利尿作用で代謝をよくしてくれる。


☆柿が赤くなると
栄養豊富な柿が食べられる季節になると、みんな元気になって、医者が青くなるという俗説。


☆柿の種
お菓子の柿の種は大正12年、新潟県で生まれた。柿ピーは、ピーナツ業者がピーナツの販売拡大をねらって売り出したもの。


☆柿と杮(こけら)
この二つの漢字、一見同じように見えるけど違う字。柿は9画。杮は8画。杮の旁(つくり)の市は上から棒を書く。杮の音読みは「ハイ」ただ、今は肺や沛(はい)は旁(つくり)を柿と同じように書いている。

ちなみに、杮とは木材の切りくず。ヒノキやマキを薄く剥いだ板のこと。

  
☆桃栗三年柿八年
さて、その続きは。

「柚子(ゆず)は9年」
「柚子は遅くて13年」
「梅は遅くて13年」
「梅は酸いとて18年」
「枇杷(びわ)は9年でなりかねる」
「枇杷は9年で登りかねる、梅は酸い酸い13年」
「柚子の馬鹿めは18年」
「梨の大馬鹿18年」

地域、地方によって実をつける年数が違うので、いろいろある。


人間も個体によって、それぞれ違うんですけど…。

それがわかっていても、つい…。








































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2010年11月06日

(土)うふふ、これは蜜の味…

そろそろコタツでみかんの地方もあるのでは…。

☆みかんの木
みかんの原種は3000万年前のインド東北部アッサム地方が発祥。さまざまな種に分化しながら、ミャンマー、タイ、中国へと広まる。日本にはタチバナとシークワ―サーが自生していたが「魏志倭人伝』には「生薑(しょうが)橘、山椒、茗荷、それらを食用とすることを知らない」と記載があり、食用とされてなかったようだ。

「日本書紀」には「垂仁天皇の命を受け常世(とこよ)の国へ遣わされた、田道間守(たぢまもり、古事記では多遅麻毛理)が非時香菓(ときじくのかくのみ)の実と枝を持ち帰った」とあり、この実は今のタチバナであるともダイダイであるとも、小みかん(キシュウミカン)と定かではない。また、古事記にもみかんは登場している。

その後も中国から、キンカン、コウジ(ウスカワミカン)など、さまざまなみかんが伝来するも、当時の日本では食用よりも薬用として用いられていた。

「日葡(にっぽ)辞書(1603)」には「miccan」と表記されている。古くは「ミッカン」と発音されていたのが、ミカンとなった。

ちなみに、常世の国とは、古代日本で信仰されていた、海のかなたにあるとされる異世界の国のこと。一種の理想郷。また、日葡辞書とは、日本語をポルトガル語に訳した辞書。


だが、室町時代に中国から伝わってきた品種が、それまでの柑橘類より甘かったので「蜜のように甘い、柑子(カンジ、コウジ)」の意味で「蜜柑」の字が当てられた。


☆みかん
日本で普通にミカンと言えば、温州(うんしゅう)みかんのこと。この温州とは柑橘類の産地であった中国浙江省(せっこうしょう)の温州のイメージにあやかってつけられたもので、温州とは関係ない。

みかんの生産は、和歌山、愛媛が多く、静岡と続く。おもな産地は太平洋沿岸、瀬戸内沿岸となっている。

アメリカ・アラバマ州、フロリダ州ではみかんが栽培され「Satsuma」「Mikan」と呼ばれている。日本以外では、スペイン、トルコ、韓国済州島で栽培されている。

カナダではみかんは「クリスマスオレンジ」と呼び、クリスマスシーズンの到来を告げる風物詩となっている。


☆紀伊国屋文左衛門
当時の江戸で、みかんが高騰していることに目をつけた、文左衛門は暴風雨の中、船で命懸けで江戸にみかんを運び、富を得た話は有名。


☆みかんと風邪
みかんはビタミンCやシネフリンと言う成分が豊富で風邪予防にいいとされている。その他、ビタミンA、クエン酸、食物繊維、白い筋にはヘスペリジンは動脈硬化、コレステロール血症に効果がある。また、果肉には、プロビタミンA化合物の一種、クリプトキサンチンが多い。

中国ではみかんは体を温める食べ物として、風邪をひいた際には食べてはいけないとされている。つまり、ミカンは体を温めるので風邪の予防にはなるけど、風邪をひいてしまった後は食べない方がいいと言うことらしい。


☆みかんの効用
漢方では、未成熟な皮を干した青皮と言い、熟した皮を干した陳皮(ちんぴ)は七味唐辛子に入っている。

油胞と呼ばれる果肉のつぶつぶは、リモネンと言う合成樹脂を溶かす溶剤として注目を集めている。リモネンはオレンジオイルや洗剤として使われている。


☆ポンジュース
愛媛のポンジュースは「日本一(にっぽんいち)」のジュースになるようにとの願いを込めてつけられたネーミング。だが、愛媛では「ポン」は「くだらないもの」「糞」の意味があり、最初は「糞のジュースかと揶揄された。


☆みかん缶詰の歴史
○外皮付き糖蜜煮
最初のみかん缶は、外皮をつけたままで甘煮にされた(キンカンの甘露煮スタイル)文献によると明治10年の「朝野新報」に掲載されていた。

○みかん大缶
外皮を手剥きして丸のまま詰めたもの。明治30年ころ。売れ行きはよくなかった。

○丸球みかんの砂糖漬
大正6.7年頃。これも評価はよくなかった。

○みかんシラップ漬缶詰の変遷(注:シロップの印字ミスではない)
内果皮を手やナイフで剥皮したもの。大正時代。

内果皮をアルカリで処理したもの。昭和2年。

内果皮を酸とアルカリで処理したもの。昭和8年。

缶切りの要らないイージーオープン缶。昭和40年。

透明プラスチックボトル入り。平成。 

透明袋みかんゼリー。平成。


☆缶詰のみかんの内果皮の排除方法
@ 最初は外皮は手剥き。0.5パーセントくらいの塩酸に30分浸す。

A @を水洗いする。

B 水酸化ナトリウム(カセイソーダ)の0.5パーセントから1.0パーセント程度の液の中に浸す(50度くらいに温めてあれば、数秒でよい)

C Bを水洗いすれば、みかんの内果皮は見事にはがれる。

この方法は日本人が発明したもので、ビタミンCが少ししか破壊されない。最近は外皮剥きも機械化されている。


☆余談
○私のみかんの食べ方。
私は、みかんが嫌いと言う訳ではないけど、買ってまで食べようとは思わない。何より、食べ方、食べカスが汚い。口に入れたものを出すという行為もいやだし、中にはどうしてだか、みかんの房を縦に口に入れる人もいる。その時、変顔になるんだけど…。

そんなみかんも買わなくてももらう時がある。その時は半分に切って果汁をしぼる。これこそ、何も足さない本当のみかんジュース。これはものすごくおいしい!そして、外皮(ワックスなし)は細く刻んで野菜炒めに適量入れ一緒に炒めると、ほのかなみかんの香りがしてさっぱりとおいしい野菜炒めの出来上がりとなる。残った皮は冷凍しておく。

でも、みかんの食べ過ぎは控えましょう。皮ふが黄色くなる柑皮症だけでなく、あれでなかなか糖分が多いので、糖尿病の危険性もあります。




























































欧米では「Satsuma」「Mikan」と呼ばれている。
タグ:蜜柑
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2010年11月05日

(金)紅くて、知恵があって、すごい味の…

人間の肉の味がすると言われても…。

☆ザクロ(石榴、柘榴、若榴)
ザクロとはザクロザクロ属の木、またはその実を指す。学名、Punica granatum。原産地、ペルシャ。 


☆ザクロの語源
ザクロの科名、PunicaceaeのPunicaは「フェニキアの」を意味するPoeniに由来。古代ローマの博物学者、プリニウスがザクロを「カルタゴのマルス」として、カルタゴ周辺がザクロの原産地として考えていた。

granatumは「種の」や「粒の」の意味。英語のpomegranate(粒の多いリンゴ)はラテン語のpomumgranatum、pomagranata(種の多いリンゴ)に由来。

中国語の「石榴」「安石榴」はパルティア王朝のアルサケスを張騫(ちょうけん)が「安石」「安息」と音訳し、パルティアを意味する「安息国」に由来。またザクロを「塗林(とりん)」と呼んでいた時代もあり、サンスクリット語のザクロを意味するdarim、darimaの音訳。「榴」は実が瘤(こぶ)に似ていることに由来。

日本語のザクロは、石榴、石榴の字音から。呉音では「ジャク・ル」漢音では「セキ・リュウ」

「本草和名」には「安石榴、別名塗林、若榴」の中国読み「zak-law」に由来。また、ティグリス川、およびペルシャ湾東方のザグロス山脈のザグロスを「石榴」と音訳したともある。


☆ギリシャ神話
ペルセポネはゼウスとデーメーテール(豊饒神)との間に生まれた娘。そのペルセポネを冥界の王ハデス(ローマ神話ではプルート)は冥界に連れ去ってしまう。嘆き悲しんだ母のデーメーテールは大地に実りをもたらすことを止めてしまう。困ったゼウスはハデスを説得し、ペルセポネを解放することに成功。だが、ペルセポネはハデスに差し出された12粒のザクロの種のうち、4つを食べてしまった。

冥界の食べ物を食べたものは冥界に属すると言う神々の取り決めにより、以後ペルセポネは4カ月冥界で過ごすことになる。デーメーテールの悲しみは癒えることなく、娘が冥界にいる4カ月の間地上に実りをもたらすことを止めてしまう。これが冬の始まりと言われている。また、4粒ではなく、6粒と言う話もある。


☆エジプト神話
戦場で敵を皆殺しにするセクメトに対し、太陽神・ラ―は、7000の水差しにザクロの果汁で魔法の薬を作り、セクメトはそれを血と思い込み飲み、酩酊して殺戮(さつりく)を止める。


☆キリスト教
キリスト教ではザクロは再生と不死に対する希望のシンボル。聖母マリアの象徴。ボティチェリ作「マニフィカトの聖母」「石榴の聖母」には、幼いキリストがザクロを持っている。ミレーの「無原罪の聖母」ではマリアの足元にザクロが描かれている。

アダムとイブが出会ってしまった「知恵の実」はリンゴではなく、ザクロの説もある。


☆鬼子母神(きしぼじん)
インドの訶梨帝母(かりていも)には子供が千人いた。しかし、人間の子供を食うことを止めないので、釈迦が人肉の味がするザクロの実を与え、人肉を食べないことを約束させ、子供を守る神となった。

鬼子母神が手に持っているのは、吉祥果(きちじょうか)言われるザクロの実。

江戸三大鬼子母神
真源寺(入谷)法明寺(雑司ヶ谷)法華経寺(千葉県市川市)


☆紅一点
紅一点とは、男性の中に女性が1人いること。この紅とはザクロのこと。中国宋の時代の詩人、王安石(おうあんせき)の「石榴詩」は彼が大臣だった時、翰林院(かんりんいん)の庭にザクロの林があり、緑の葉の中に1輪紅い花が咲いていた。

「万緑叢中紅一点 動人春色不須多」
(濃い緑の中に一輪紅い花が咲いている、人を感動させる春の景色はこの一輪だけで十分だ)


☆石榴口
江戸時代の風呂の多くは蒸し風呂(湯を張った風呂は湯屋で江戸時代後半に登場する)で、蒸気が逃げないようにするため、湯船に入るには屈んで入るようになっていた。そこを石榴口と呼んだ。ザクロの絞り汁で鏡を磨くと曇らない。そこで、風呂の入口を屈み入る、鏡鋳る(鏡を磨くこと)にかけて石榴口と呼んだ、江戸ッ子の粋な言葉遊び。


☆ガーネット(garnet:石榴石)
1月の誕生石。


☆ザクロジュース
ザクロに含まれるエストロゲンは特に女性には必須な成分。だが、ほとんどのザクロジュースにはエストロゲンはそんなに入ってなく、値段のわりにその効能も疑問視されている。つまり、高価なのに、その効果が疑わしい…。

コラーゲンも食べたからと言って、翌朝、肌がぷるっぷるっになることはない!


私は子供の頃にザクロを食べたことがある。粒々の集まりのようなもので、何かを食べた言う気もしなかったし、何より、その酸っぱさに閉口した。これが人肉の味とは到底信じられなかった。誰も食べはしないけど、人肉も肉だから、食べればやはり「肉」の味がすると思う。

市販のザクロジュースは飲みやすくおいしいそうだけど、気休めのようなものに高い金を出す気はない。

石榴にもいろいろな話が伝わっている…。















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2010年11月04日

(木)蝌蚪・おたまじゃくし文字

日本が世界に誇る伝統工芸の一つ。漆器。

その漆器を作るには、漆が不可欠。

☆漆(うるし)の語源
漆とはウルシ科のウルシノキ(漆の木)やブラックツリーから採れる、天然樹脂塗料。塗料だけでなく接着剤としても使われる。その塗膜は耐久性、耐薬品性(酸やアルカリに強い)に優れている。葉や幹に触れるとかぶれる。

元の字は、漆の「サンズイ」が無い字。「漆」とは川の名前を表す字だったのが、元の字に代わって使われるようになった。

「うるし」の語源は「潤汁(うるしる)」「塗汁(ぬるしる)」に由来する。また「うるわしい」に由来する説もある。英語で、Lacquer Tree。


漆を採るヤマウルシの原産地は中国、チベット、インドなどの高原地帯。塗料にしたり蝋(ろう)を採るため、日本各地で古くから栽培されてきた。幹を傷つけて漆液を採り、果実の皮からは蝋を採る。

ウルシ科には漆を採る櫨(はぜ)の他に食べられるウルシ科の植物もある。マンゴー、ピスタチオ、カシューナッツなどもウルシ科。


☆漆の歴史
縄文時代前期約5500年前の遺跡から、漆を塗った櫛(くし)や盆が出土している。縄文時代後期には、土器、弓、装身具などの塗料に使われていた。

日本書紀には、漆部造兄(ぬりべのみやつこあに)という人物の名前があり、漆製作のグループがあったと思われている。

日本最古の法律と言われる「大宝律令(たいほうりつれい、701)には、大蔵省の管理下に漆部司、漆部が置かれていた。

正倉院文書では地方に漆部があったと記載があり、正倉院宝物の中には、様々な漆技法を使った楽器や調度品が残っている。


☆漆の種類
樹液成分
○ウルシオール
日本、中国、朝鮮半島。

○ラッコール
台湾、ベトナム。

○チナオール
タイ、ビルマ。

上質なのは、ウルシオール。


☆上杉鷹山(うえすぎようざん)
米沢藩主の上杉鷹山(治憲はるのり、1751−1822)は藩財政を立て直した名君として誉れ高い人物。だが、その財政再建も大変なものだった。竹俣当綱(たけのまたまさつな)の提案した財政改革案「樹養篇」により、漆100万本を植え蝋を採って売ることにした。だが、西日本で櫨から採れるハゼロウが市場に出回り、米沢の漆蝋は「悪蝋」と呼ばれあまり相手にされなかった。

和ろうそくは、石川県七尾の和ろうそく(ハゼロウ)会津の絵ろうそくが民芸品として残っている。


☆漆器(しっき)
漆器とは、漆を塗った木製の器。漆はプラスチックにも塗れる。英語で漆器は「japan(jは小文字)」中国のChinaとchina(陶器)と同じ。


☆烏帽子(えぼし)
元服した男性がかぶった帽子。烏(からす)と言う字が使われるのは、黒漆で塗ると、烏のように黒くなることから。

漆が黒くなるのは、ウルシオールラッカーゼと言う酵素の働き、酸化して黒く乾燥する性質がある。


☆漆黒(しっこく)
漆黒の闇とは、漆で塗ったように暗い夜。漆黒の髪は、黒くて艶のある髪。

漆黒は今はすでに死語となっている。現在は山奥にでも行かなければ、漆黒の闇はないし、髪は茶髪…。


☆蝌蚪文字(かともじ)
蝌蚪とは、中国の古体篆字(てんじ)で、おたまじゃくしのこと。竹筒に漆文字を書くと、漆に粘り気があるので、文字の線の最初が大きく末端が細くなる。それがおたまじゃくしに似ているところから。


☆漆
大字(だいじ)数字の、壱、弐、参…は、領収書や小切手などを書き換えられないために使用される漢数字。この大字の「七」は「漆」


☆柿漆(ししつ)
渋柿のこと。このシブを和紙で作ったうちわ、傘などに塗っていた。今は酒の清澄剤に使われている。主成分はシプオールと言うタンニンで、高血圧、脳卒中の後遺症にも使われる。


☆下瀬火薬
日露戦争で純粋なピクリン酸を使った爆薬のこと。ピクリン酸は反応が敏感で、砲弾に装着すると弾に使われている鉄と化合して、輸送や発射衝撃ですぐに爆発してしまう。そこで、下瀬博士が考えたのが、弾体の内部に漆を塗って、鉄とピクリン酸の反応を防ぐと言う方法。


☆漆喰(しっくい)
消石灰を結合剤とするモルタルや塗り壁のこと。この漆喰は当て字。
「しっくい」は「石灰」の唐音読みからで、漆とは関係ない。


☆カシュー塗料
カシュー樹の実から採れる油状物質(カシューナットシェルオイル)を原料として、科学加工したものを、カシュー塗料と言う。漆とよく似ているため、漆の代用品となっているが、耐久性、耐薬品性は劣る。


☆三度笠とヤクザ
これは以前も取り上げたけど、ヤクザの定番スタイル、縞の合羽に三度笠は元は飛脚が考案したもの。あの平たい笠は全天候型笠で、漆が塗られている。飛脚が江戸と大坂を月に三度往復することから、三度笠と呼ばれた。そのスタイルをヤクザがパクったもの。


☆漆の歴史の続き
鎌倉時代になると、浮き彫りの彫刻に漆をかけた「鎌倉彫り」が考案され、蒔絵の基本的技巧が完成。室町時代には堆朱、安土桃山時代には、平蒔絵に 梨地が、江戸時代になると、会津塗、輪島塗、津軽塗が盛んになる。

○蒔絵(まきえ)
漆で文様を描き、乾かぬうちに金銀粉、色粉などを巻いて付着させる技法。

○堆朱(ついしゅ)
朱漆を厚く塗り重ねて紋様

○梨地(なしじ)
漆面に金銀の梨子地粉をまき、その上に透明な梨子地漆を塗って、粉を解きださず 漆を透かして見せる技法。 梨の皮に似ているところから

○螺鈿(らでん)
夜光貝やアワビなど、真珠光を放つ貝殻を紋様に切って、生地や漆塗りの面にはめ込んだり、貼りつけたりしたもの。


☆漆の日(11月13日)
漆製法、漆器製造は縄文時代から行われてきた。だが、その頃の漆技術は、まだ未完成の状態であり、そのことを憂いた文徳天皇(もんとくてんのう、827−858)の第一皇子、惟喬親王(これたかしんのう)は、漆技術の向上を願って、法輪寺に参篭(さんろう)本尊の虚空蔵菩薩(こくうぼさつ)に教示を受けて、技法が完成。親王はそれを国中に広めた。親王の参篭満願の日、11月13日には報恩講(漆祭り)がおこなわれる習わしが現在も続いている。

ちなみに、継ぎ漆の「コクソ」は、虚空蔵が訛ったもの。


芸術品からヤクザまで、漆は素晴らしいです。

でも、私たちが普段目にしているのは、カシューナッツ塗料でしょう。











































タグ:漆器
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2010年11月03日

(水)東洋の薔薇が咲く時!

日本にも素晴らしい国産の油があります。

花もきれいで、良質の油がとれる。それは椿。

では「椿象」は何と読むでしょうか。
ヒント:花ではなく、似ても似つかない虫。答は最後に。


☆椿の語源
椿の語源は葉が厚いので「厚葉木(あつばき)」葉に艶があるので「艶葉木(つやばき)」が訛ったもの。

古くは神の依代(よりしろ)ともされ、春を告げる木として「椿」の字が与えられた。依代とは、神霊が寄り付く対象物のことで、神体や神域を示すこともある。

ちなみに、中国語で椿は「芳椿(ファンチェン)」と言う春の野菜。椿は「山茶」「茶花」


☆椿の原産地
学名カメリア・ジャポニカ(Camellia Japonica)原産地は長崎県久賀島。

18世紀イエズス会の神父、ゲオルク・ジョセフ・カメルが椿をヨーロッパに紹介。スウェーデンの植物学者、カール・フォン・リンネがカメルにちなんで、椿をカメリアと名付けた。リンネは植物分類学の父と呼ばれている。


☆東洋の薔薇
ヨーロッパに椿が伝わると「東洋の薔薇」として、人気を集めた。デュマの作品に「椿姫」がある。


☆椿の仲間
普通目にする椿は、ヤブツバキ。北海道を除く日本全土に分布している。鹿児島県屋久島だけに咲く、リンゴツバキ。日本海沿岸に咲くユキツバキがある。

山茶花(さざんか、学名Camellia sasanqua、日本原産)花びらは1枚ずつ散る。お茶もツバキ科ツバキ属。


☆鳥媒花(ちょうばいか)
椿は昆虫ではなく鳥に受粉をさせる鳥媒花。鳥が頭を突っ込んでも大丈夫なように、雄しべも下の方で固まり、他の花に比べても丈夫な作りになっている。なので、散る時も花はバラバラにならず「ポトッ」と落ちる。


☆観賞用
鎌倉時代から室町時代に、椿は観賞用の花として好まれてきた。室町時代から安土桃山時代には、公家、僧侶、武士の間で茶道、華道が盛んになり、特に花の無い冬に咲くので椿が愛用された。また、徳川2代将軍秀忠は無類の椿好きで、椿をモチーフとした珍品奇品のコレクターとして知られている。


☆椿と武士
椿の花は頭から落ちてしまうので武士には嫌われていたと信じられているが、むしろ潔い花と武士にも愛されていた。

では、どうしてこのようなことになったのかと言えば、幕末から明治にかけて、このどうしようもない流言がまん延にしたからにすぎない。それが現代も信じられている…。


☆椿油
椿の実から採れる椿油は「日本のオリーブオイル」と呼ばれる。遣唐使の献上品としても使われていた。

椿油の脂肪分は、人間の皮ふから分泌される脂肪にきわめて近く、日本人の皮ふや髪になじみやすい。その脂肪分も60パーセントと高い。他の油の脂肪分は、菜種油30パーセント、ヒマワリ油24パーセント、コーン油5パーセント、ごま油5パーセント。

サラダ油が日本に普及する以前の長崎県五島では、椿油が普通に食用にされていた。


☆山茶花(さざんか)
もとはサザンカではなく「サンサカ」と呼んでいた。その仮名がいつのまにかひっくり返った。また、仮名がひっくり返ったのは、サザンカだけではない。

○秋葉原
秋葉原は1869年明治2年、東京が大火に見舞われたので、当時の東京府が9千坪の火除け地を作り、翌年遠州(静岡県)から、火除けの神「秋葉大権現」を勧請し、鎮火神社が祭られた場所。なので「あきばはら」が正しい呼び名。それがいつのまにか「あきはばら」となってしまった。


☆椿事
滅多にない驚くようなことを椿事と言う。
1.「椿事」の元の漢字は「樁事」と言う字で、出来事を数える言葉。「春」の下が「日」ではなく「臼」で読みも「しょう」この「樁」が「椿」と混同されたと言う説。

2.「ちんじ」と発音する言葉に「闖事」がある。門に馬が現れればびっくりするに違いないけど、それがなぜか「椿事」となる。

3.「荘子」には「大椿(だいちん)」と言う古い伝説上の大木が出てくる。八千年の春と八千年の秋と三万二千年が、人間の1年に当たると言う樹木。この大木が花を咲かせるのはそれこそ滅多にないことから「椿事」と書いて、滅多にない珍しいことの意味になった説。

ちなみに、長寿のことを大椿の寿、椿寿と言う。


☆椿を詠んだ歌
万葉集  坂門人足(さかとのひとたり)
「巨勢山(こせやま)の つらつら椿 つらつらに
       見つつ偲(しの)はな 巨勢の春野を」

(巨勢山の椿の木を、つくづくと見入りながら偲ぼうよ。椿の花咲く巨勢の春の野を)

松尾芭蕉
「落ちざまに 水こぼしけり 花椿」


西欧で、素晴らしい花やオイルが、以下に称えられようとも、日本のように「風情」とはならない…。


「椿象」の読みは「カメムシ」でした。
どうしてこの字が与えられたのかわかっていません。

明日も日本の伝統工芸品です。




タグ:椿 山茶花
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2010年11月02日

(火)ペリドット・橄欖

と言う訳でもないけど、そんな訳で、今日はオリーブの話を少し(事の次第は昨日のブログで。さっぱり詳しくないけど)


☆オリーブ
オリーブとはモクセイ科オリーブ属の常緑高木。原産地は地中海沿岸地方。日本へは文久年間(1861-1864)に伝わった。


☆オリーブオイル
人類史上最古の食用油。6.000年前から食べられている。ホメロスが「黄金の液体」と称えた。

オリーブは冬の時期に実をつける。油分を多く含んだ実で動物を誘う。冬は食べ物の少ない時期だけに動物に好まれている。

英語のoilはオリーブの木を意味するギリシャ語のelai a oliveが語源。


☆ノアの箱舟
旧約聖書のノアの箱舟。ノアは一向に引かない洪水の中で鳩を放す。その鳩がオリーブの小枝をくわえて戻ってきた。ノアは陸地が近いことを知る。そして、現在のトルコとアルメニアの国境にそびえるアララト山の中腹にたどり着く。

ノアの鳩は「はと座」してオリオン座の足の下の「うさぎ座」と並んでいる。1627年に作られた新しい星座。

オリーブを加えた鳩は、タバコのピースの図柄になっている。1946年に第二次世界大戦が終結したのを記念して「ピース」と名付けられた。しかし、ピースは大正9年の第一次世界大戦の終結の記念として出されたものもある。

平和と言う意味で、国際連合の旗にオリーブが採用されている。


☆アテネ
ギリシャ神話のゼウスの頭から武装した姿で出現したとされる、知恵の神アテーナーはフクロウを聖なる動物とし、オリーブを平和の象徴としていた。アテーナーは都市アテーナイ(アテネ)支配権をめぐり、ポセイドンと争った時、アクロポリスの上にオリーブを生じさせたことにより勝利し、都市の名もアテーナイとなった。ギリシャの国花はオリーブ。


☆古代オリンピック
第1回の古代オリンピックは紀元前776年に開催された。勝利者にはオリーブの冠と犠牲獣(牛)の肉が与えられた。


☆橄欖石(かんらんがん、Olivine、オリビン)
オリーブは漢字で橄欖と書く。だが、これは勘違いから生まれた漢字。
橄欖石の語源はラテン語のオリーブから。石の色がオリーブ色(濃緑色)をしているとこから、1790年にウェルナーが命名。

オリビンを橄欖石と訳したのは日本人らしい。カンランはベトナム原産の東南アジアで栽培されているカンラン科の果木。幕末の頃にその実だけを見て同じものと誤認そされたため、オリーブにこの漢字が当てられ、そのままになっている。

橄欖石は宝石名をペリドットといい、8月の誕生石。


☆金木犀(きんもくせい)
英語で木犀はa fragrant olive(香りのあるオリーブの意味)この香りは木が虫を寄せ付けないための匂い。

金木犀は雌雄異株で、日本へ入ってきたのは花がなく、香りの強い雄の木ばかりなので、日本では金木犀の実を見ることはできない。


☆1ドル紙幣
1ドル紙幣の表は初代アメリカ大統領のワシントン。裏は右に国鳥、白頭鷲が描かれ、その右足には、平和のシンボル13本のオリーブの小枝。左足には戦いのシンボル13本の矢をつかんでいる。13はアメリカ独立当時の州の数。 


☆スタッフドオリーブ(stuffed olive、詰め物をしたオリーブ)
カクテルの王、マティーニ(Maytini)の名前の由来は、1910年、マティーニ・ディ・アロナ・タッジアと言うバーテンが作ったカクテル。マティーニにつきものなのがスタッフドオリーブ。オリーブの種を抜いて詰められているのは赤ピーマン。ちなみに、カクテルの女王はマンハッタン。


☆オリビア
オリビアはオリーブの別名。オリーブは女性名でもある。ポパイの恋人がオリーブであるところから、やせた女性を「オリーブ」と呼んでいたことがある。1999年、ポパイとオリーブは70年越しの恋を実らせ、ついに結婚。


☆オリーブの首飾り
今はマジックの定番曲となっている、ポール・モーリアの「オリーブの首飾り」最初に使ったのは、松旭斉すみえ。


明日は和製オリーブオイルです。













posted by 松本萌花 at 06:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月01日

(月)クリスとアンとシモンを、着てみれば…

花を着ましょう。

菊は奈良時代に中国から渡来。

☆菊の語源
菊は漢名の「菊」を音読みしたもの。
「菊」の本字は「草かんむり」に「鞠」丸い花が咲く草の意味。

「菊」の字源は、散らばった米を一カ所に集めるの意味。菊の花弁を米に見立てたところから。
漢名の「菊」は、究極、最終の意味を持ち、1年の1番終わりに咲く花であるところから名づけられた。


☆キク科
キク科の植物は約2万種。南極を除く、全世界にその分布を広げている。主なキク科の植物に、ヒマワリ、タンポポ、ゴボウ、ヨモギ、レタス、金盞花(きんせんか)エーデルワイス、コスモス、カモミール、アンティーチョーク、マリーゴールド、マーガレット、紅花、アザミなどがある。


☆原産地
キク科キク属の花は、中国のハイシマ寒菊と朝鮮野菊が中国で交雑したものが品種改良して、園芸用の菊になったと言われている。


☆chryanthemun(英語の菊)
語源はギリシャ語のchrysanthemon(chrys-金の+anthemon花)から。イギリスでは、「菊の中には、クリスとアンとシモンと言う3人の少女がいる」と覚える。


☆菊を詠んだ歌
万葉集  生玉部足国(いくたまべのたりくに)
「父母が 殿の後方(しりへ)の百代草 百代いでませ わが来るまで」
 百代草は菊のこと

古今集、百人一首 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
「心あてに 折らばや折らむ 葉はしもの 置きまどはせる 白菊の花」

金塊和歌集  源 実朝
「ぬれて折る 袖の月影 ふけにけり 籬(まがき)の菊の 花のうへの露」

松尾芭蕉
「菊の香や 奈良には古き 仏達」


☆重陽の節句
五節句の一つ。一番大きな陽数である九が重なる陰暦の九月九日。中国では古くからこの日に菊の花を酒に浸して飲む。この菊酒は邪気を払い、長命を願う風習からはじまった。

ちなみに五節句とは。
人日(じんじつ) 1月7日
上巳(じょうみ)  3月3日
端午(たんご)   5月5日
七夕(しちせき) 7月7日
重陽(ちょうよう)9月9日


☆十日の菊
菊は重陽の節句には欠かせないものだけど、十日になるともう用済み。時期遅れ。5月5日の「六日の菖蒲(しょうぶ)」も同じ意味。二つ合わせて「六日の菖蒲、十日の菊」とも言う。


☆菊人形
細工した菊の花や葉を衣装とし、芝居や伝承の名場面を見せる、人形のこと。

江戸時代、巣鴨、染井の植木職人が、参拝客に菊細工を見せたのが始まり。染井は桜の品種、ソメイヨシノでも知られている。明治に入ると、団子坂(文京区千駄木)に移り、秋になると団子坂の両側に、菊人形の小屋が立ち並んだ。


☆スプレー菊
伝統的な日本菊は1本の茎に1個の花をつける。それが1本の茎から多くの花が放射状に咲くスプレー菊は、栽培の途中でつぼみを摘み取られないで、1本の茎から多くの花が咲くように改良された菊。1940年代にアメリカで生まれ、第2次世界大戦後にヨーロッパに広まり、日本へは1974年にオランダから伝わった。


☆食用菊
観賞用の菊の花より、苦味が少なく甘味がある。ゆでておひたしや酢の物、ごま和え、てんぷら、吸い物なとに利用できる。

○阿房宮(あぼうきゅう)
黄色の小菊、八重咲き。刺身などの飾りに利用。

○もってのほか 
明るい赤紫色の中菊、八重咲き。山形県の特産、酢の物などに利用。「もって菊」とも呼ばれている。


☆菊石
菊石とはアンモナイトの化石。アンモナイトの全体が菊のように見えるとか、縫合線の形が菊の葉に似ているとか言われ、菊面石、菊明石の名前もある。

ちなみにアンモナイトの語源は、古代エジプトの太陽神、アモン・ラー(牡羊の姿をしている)の巻いた角の形から。


☆菊判(きくばん、菊版)
用紙の旧規格寸法の呼び名。9.33p×63.6pこれを16折にした22p×15p(A5判より少し大きい)の書籍も同じように呼ばれる。初めて輸入されたときに菊の花の商標が付いていたことから。


☆菊割れ
炭は断面の亀裂から締まり具合がわかる。一般的に黒炭の亀裂は細かい物が良く、白炭は亀裂が無い方がいい。茶の湯用のクヌギの黒炭は断面が菊花状に細かく割れるのが良質と言われる。これを菊割りと言う。

もう1つ、流し台の排水口のゴムのふたも菊割れと言う。中央から放射状に切れ目が入っている。


☆検事のバッジ
正式名称は検察官記章と言う。菊の花弁の真ん中に旭日があしらわれたデザイン。この形が霜と の組み合わせに似ているところから、検事の職務の理想像と相まって「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)のバッジ」とも言う。


☆秋明菊(しゅうめいぎく)
菊と名前が付いているが菊ではなく、アネモネの仲間。英語ではジャパニーズ・アネモネ。古くは中国から修行僧が持ち帰り、日本で野生化。秋に菊に似た花を咲かせるところから、黄泉の国の秋の菊と言う意味の「秋冥菊」と呼ばれていたが「冥」が暗いイメージなので「明」と言う字が使われるようになった。京都の貴船で多く栽培されたことから、貴船菊の別名がある。でも、あまり、菊に似てないけど…。


☆菊戴(きくいただき)
スズメ目ヒタキ科の鳥。小柄で体の上面はオリーブ色。雄の頭頂は橙黄色で菊の花に似ているところからこの名前が付いた。菊を頭に戴く。


ということ?????で、明日は「オリーブ」のことを書きます。

もう、無茶ぶりもいいところ。我ながら、呆れてます…。































タグ: 菊人形
posted by 松本萌花 at 07:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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